がんの再発を医師から告知されたとき、多くの方は「頭の中が真っ白になり人生が終わった」と感じてしまいますが、諦める必要は一切ありません。
また、再発がんが怖くて心配で仕方がない方もいらっしゃいます。
再発がんは治療が難しく、根治を目指すことができず余命を伸ばし症状を和らげる治療しかないというのも誤解のひとつです。
確立されている標準治療だけに限定してしまえば、選択肢はあまりありませんが、視点を広げると再発がんが治る可能性もありますので、諦めないでください。
癌が再発したら?その次のステップとは?
がんの再発がわかったら、転移の有無、局所再発なのかどうか、腫瘍がどのくらいの大きさなのか確認し、どのような治療を行なっていくのか決めていく必要があります。
また、セカンドオピニオンを受けて情報を得ることもおすすめです。
癌再発の主な症状と対応策
がんが再発したときにみられる代表的な症状です。
- 骨周辺の痛み
- 肺の場合は、息切れや咳、胸の痛み
- お腹や背中、腰の痛み
- 乳がんの場合、しこりのような異物感
がんの再発を完全に防ぐことはできませんし、症状が出ない場合もありますので、定期的な検査が大切です。
もし症状が確認されたら、早めに検査を受けるようにしましょう。
治療後の再発率。どれくらいの確率で癌は再発する?
すべてのがんの再発率が判明しているわけではないので、代表的ながんについてお伝えいたします。
肺がんはがんの中でも再発しやすく、ステージⅠの非小細胞肺がんで20〜30%の再発率とされています。再発のほとんどは治療後2年以内に起こり、5年を過ぎるとかなり少なくなることがわかっています。
大腸がんの再発率は、ステージⅠの場合で約5.7%、ステージⅡの場合は約15%、ステージⅢでは約31.8%の再発率が認められています。全ステージを通じての平均再発率は18.7%です。
食道がんの再発の多くは、初回の治療から1年以内に発見されています。
食道がん根治手術後の再発は30〜50%、再発の形式はリンパ節、局所再発が20〜70%、遠隔臓器転移が10〜50%に生じ、両者が複合した再発も7〜27%あります。
頭頸部がんの再発率は、10〜20%程度と考えられています。
進行がんでは、初回の治療でがんが完全になくなったと考えられる場合でも、20〜40%の患者さんで再発が認められています。
再発の多くは初回の治療終了後2年以内に起こるといわれています。
再発した癌への治療にとりくむ。治療法の選択
再発がんの治療は、根治(がんを治す)ことを目指すことが困難であるケースが多く、「がんの進行を抑える」「がんによる症状を和らげる」ことが目標となります。
再発がんの特徴として個人差が大きいことが挙げられ、治療法の選択も様々ですが一般に手術で腫瘍を全部摘出する治療が選択されることは稀で抗がん剤による治療になることが多いです。
手術できない場合の代替治療法
手術で腫瘍をすべて摘出できない場合の治療法として、最初に選択されるのが抗がん剤による化学療法です。
がんの種類によっては、免疫療法や放射線治療も選択肢となることがあります。
進行中のがん細胞に抗がん剤は効果がありますが、休んでいるがん細胞やがん幹細胞に抗がん剤は効果が薄いといわれています。
また、肺がんや胃がん、大腸がん、前立腺がんは抗がん剤が効きやすい一方でスキルス性胃がんやすい臓がんなど、抗がん剤によるがん細胞の縮小があまり期待できないがんもあります。
免疫療法は効果が期待できるものもあれば、がんの種類(部位)によっては研究中のものもあるため、どのくらい期待できるか明確にされていない部分があります。
他にも統合医療による治療があります。
がん再発の原因とメカニズム
がん再発の最大の原因は、がん組織を完全に取り除くことができなかったことです。
手術や抗がん剤治療でがん組織を完全に取り除くことができているのであれば、再発することはないのですが、現在の医学では100%確実にすべてのがんを取り除くことができません。
完全に取り除いたように見えるがん細胞の残存
手術でがんを摘出する際は、がん組織の周辺にある正常な組織も含めて切除します。
がん細胞は肉眼などで確認できるよりも小さいサイズであることが多く、確認されたがん組織のみの摘出では取り残しが発生し、がんの再発につながるからです。
周囲の正常組織を含めて摘出しても、がん再発の可能性は存在します。
例えば胃がんの手術で7割は再発しないのですが、残り3割は再発しています。
7割は手術でがんを完全に取り除け、3割はがんを完全に取り除けなかったといえるでしょう。
故に、目で確認できないくらい小さながん組織を手術で取りきれなかったと仮定し、手術後に抗がん剤での治療(術後補助化学療法)を実施します。
しかしながら、すべてのがん細胞を死滅しきれないことがあり、再発に繋がっています。
検査で捉えきれない微細な癌細胞の存在
現在のMRIやCT検査では最小で数mmまでのがん細胞を発見することができますが、数mm以下のがん細胞を検出することはできません。
0.1mmの大きさの腫瘍でも数十万個のがん細胞が存在することから、すべてのがん細胞を発見することは技術的に不可能です。
従って、MRIやCTなどの画像で確認したがん細胞を狙って実施する放射線療法なども、数mm以下のがん細胞に対しては適応できないこととなります。
再発メカニズム:時間経過と残存癌細胞の成長
摘出手術、抗がん剤治療などの一連の治療を終えて、MRIやCTなどの検査で、がん細胞が発見できない状態になると、がん治療はひと段落します。
しかし、発見できない微小ながん細胞が存在する可能性が否定できないことから、5年間は状態を観察します。
現在までの研究により、がん治療後5年再発がなければ、その後の再発リスクが低下するため、治療後5年をひとつの目安にしています。
5年間再発がなければがんは完治したものと考えられることから、5年でがん細胞は大きくなってくるといえます。
なお、乳がんは10年以上経過して再発するケースがあります。
繰り返す再発:なぜ癌は再発するのか?
「がん細胞が体内から消えた」のなら、がんは再発しません。
一方、がん治療ですべてのがん細胞を取り除くことができなかったとしたら再発します。
医学が進歩したとはいえ、現在の医学ではがん再発を防げていない、がん治療ですべてのがんを取り除くことができていないのが実情です。
がんの再発とそのリスクについて
お伝えしたように、がんの再発を完全に防ぐことはできません。
がんの初発部位による再発リスクの違いなどをみていきましょう。
がんの再発リスクを左右する主要な要因
最初のがん治療で抗がん剤による治療を避けた場合、「目に見えないがんをなくす」ことができないため、がんの再発リスクが高まるとされています。
しかし抗がん剤による治療で、すべてのがんを無くすことができたとはいえず、5〜10年経過してみないと不明なままです。
さらに、抗がん剤に耐性を持ってしまうがん細胞があることが報告されています。
また、がん発見時、既に腫瘍が大きくなっていた場合や転移が認められた場合、再発リスクが高いとされています。
ステージや発生部位による再発リスクの違い
一概に再発リスクをいうことはできませんが、再発リスクが高いがんとして下記のがんが挙げられます。
- 肺がんのステージⅢ、ステージⅣおよび喫煙習慣のある方、腫瘍が大きい場合
- 大腸がんのステージⅢおよびリンパ節転移が確認された場合、遺伝的要因やポリープ再発がある場合
- 乳がんでホルモン受容体陽性の場合とHER2陽性の場合
- 黒色腫(メラノーマ)で進行してしまっている
がんの性質と再発の関係性
がんにも種類や性質があり再発のしやすさ、転移の起こりやすさが、ある程度判明しています。
肝細胞がんの多くは、肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変が背景にありますので、がん治療をしても高い確率で肝臓の別の場所に再発することが判明しています。
肺の小細胞がんは、脳への転移を起こしやすい性質を持っています。
初期治療で高い治療効果が得られた場合は、予防的に脳に対しての放射線療法が採用されることがあります。
国立がん研究センターの統計:5年実測生存率と相対生存率
国立がん研究センターでは生存率の調査を実施し公表しています。
実測生存率とは「死因に関係なく、すべての死亡を計算に含めた生存率」のことです。
がん以外の原因による死亡も含めて算出していますので、一般的には補正した「相対生存率」を用います。
相対生存率は分母に通常一般の生存率、分子に実測生存率で割って計算したものですが、通常一般の生存率には、がんの方も含まれているため、相対生存率の過大評価の可能性が指摘されています。
最近では、相対生存率の過大評価を解決するために、純生存率が用いられるようになってきました。
国立がん研究センターの統計
「がん診療連携拠点病院等における5年生存率(2013〜2014年診断例)」
計には、ステージ不詳、空欄の者を含む。
出典:がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2013-2014 年 5 年生存率報告書
Source: Hospital-based Cancer Registry: 5-year Survival at the Designated Cancer Care Hospitals in 2013-2014
(https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/index.html)
がん | ステージ | 5 年実測生存率(%) | 5 年相対生存率(%) |
---|---|---|---|
全がん | 計 | 59.7 | 67.5 |
胃癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 82.160.037.05.562.1 | 96.069.642.36.272.4 |
大腸癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 82.775.568.316.863.3 | 94.588.477.318.772.5 |
肝細胞癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 54.839.913.73.739.2 | 63.746.016.14.245.5 |
肝内胆管癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 51.830.921.75.018.3 | 58.934.624.25.620.6 |
小細胞肺癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 38.027.416.01.710.2 | 44.731.217.91.911.6 |
非小細胞肺癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 73.847.526.77.241.9 | 84.154.429.98.147.7 |
女性乳癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 95.290.776.237.087.9 | 99.895.580.738.792.2 |
食道癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 68.945.024.17.772.0 | 78.750.826.98.647.7 |
すい臓癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 45.820.46.11.311.2 | 51.822.96.81.412.5 |
子宮頸癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 93.675.362.024.872.5 | 95.679.664.726.075.1 |
子宮内膜癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 92.185.565.721.281.1 | 95.588.968.122.184.2 |
前立腺癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 89.691.186.251.283.1 | 100.0100.0100.063.498.4 |
膀胱癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 70.246.236.216.854.0 | 86.457.043.119.366.2 |
喉頭癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 81.576.461.240.569.0 | 96.589.071.346.880.9 |
胆嚢癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 79.258.119.82.124.8 | 93.269.323.42.429.3 |
腎癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 87.379.668.016.374.4 | 96.787.677.018.382.7 |
腎盂尿管癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 68.559.946.610.739.3 | 82.872.955.112.347.3 |
甲状腺癌(乳頭濾胞癌) | ⅠⅡⅢⅣ計 | 96.193.494.683.992.7 | 98.9100.5100.191.197.5 |
甲状腺癌(未分化癌) | Ⅳ計 | 5.75.4 | 6.66.3 |
甲状腺癌(髄様癌) | 計 | 89.6 | 95.9 |
卵巣癌 | ⅠⅡⅢⅣ計 | 88.471.543.425.561.7 | 90.874.044.926.663.7 |
抗がん剤治療の効果と微小転移への対応
あまりにも小さな腫瘍を発見することが技術的にできないため、微小転移があったとしても発見することはできません。
微小転移は再発の原因になってしまいますので、抗がん剤による治療を実施することが基本です。
最初の抗がん剤は効果が出ることが多いのですが、何度も抗がん剤治療を実施すると、がん細胞が抗がん剤に耐性をもってしまい、効果が出なくなることもあります。
また、成長中のがん細胞に抗がん剤は効果を発揮しやすい一方で、休止状態にある(成長していない)がん細胞には、抗がん剤は効果を発揮しにくいという特徴があります。
このため、抗がん剤ですべてのがんを無くすことは非常に困難です。
また、手術で腫瘍を摘出した後に抗がん剤治療を実施するのも、微小転移への対応といっていいでしょう。
癌再発と転移の違いを正確に理解する
がん再発とは、最初にできたがんを手術などで摘出し、がん組織をCTやMRIで発見できない状態となり治療が終わった時点から、数年かけてがんが再び発見されることを指します。
簡単にいうと、一度治療が完了した後に、再度がんが発生したことが「再発」です。
転移とは、最初にできた臓器などから、他の臓器やリンパ節にがん組織が移動し増殖したものを指します。
最初にがんが発見されたとき、進行しており転移が確認されていれば「転移」と診断されますが、最初にがんが発見されたとき「再発」とは言いません。
再発率の高い癌とは?
再発しやすいがんとして、肺がん、大腸がん、食道がん、頭頸部がん、すい臓がん、膀胱がんがあります。
種類を問わずがんは再発する可能性を秘めていますし、ステージが進むにつれて再発率が高まります。
再発がんの特性。早期発見でも難治性の現実
再発がんが難治性といわれるのは、以前実施した抗がん剤に耐性を持ってしまい、抗がん剤が効かなくなってしまうことがあるためです。
抗がん剤が効かなくなってしまった場合は、抗がん剤の種類を変更しますが、上手くいかないケースも出てきます。
また、すい臓がん、胆道がん、悪性中皮腫、肺小細胞がん、卵巣がんなどは治りにくい難治性のがんとされています。
癌再発の深刻な現実。癌が再発したら助からない?
がんの再発がわかったとき、衝撃が走り頭の中が真っ白になってしまう方が多いのですが、再発したからといって助からないというわけではありません。
少数ではあるものの、再発しても助かっているケースが存在しているからです。
がん治療は諦めたら人生の終わりを迎えますが、何も諦める必要はありません。
余命の期間。癌が再発したらいつまで生きることが期待できるのか?
がんが再発したとしても、患者さま一人ひとりの病状が大きく異なっていますので、一概に余命はわかりません。
がんの種類や転移の有無で大きく寿命が異なりますし、治療方法によっても余命が変わってきます。
一般的には標準治療をすることで余命を伸ばすことができますが、標準治療以外の治療を組み合わせることで、さらに余命を伸ばすことが期待できます。
大切なのは、がん治療を諦めないことです。
一般的に治らないとされるステージ
一般的に治らないとされるステージはⅣです。
5年生存率も低くなることが多いことから、治らないステージといっていいでしょう。
ステージⅣは転移が進んでおり、複数の部位にがん組織が存在している状況ですので、治療の選択肢が多くありません。
また、肝細胞がん、小細胞肺がん、すい臓がんのようにステージⅢでも5年生存率が低いがんもあります。
生存率が低いということは、治らないがんと言い換えてもいいでしょう。
再発癌が治る確率
がんの再発は、局所での再発と遠隔転移した再発の2つに分けられます。
再発したとしても、がん組織が局所に留まっていた場合、完治できる可能性は非常に高くなる一方、遠隔転移があり治療方法が抗がん剤に限定されてしまうと治る確率は低くなってしまいます。
再発の状況により完全治癒の可能性が大きく異なってくるのです。
しかし、何も諦める必要はありません。
癌治療後の再発リスクを低減する方法
がん治療後の再発リスクを低減するには、規則正しい生活、ストレスを溜めない、食生活に気を配る、有酸素運動を行うこと、適正体重を維持することが指摘されています。
また、定期的な検査を必ず受けるようにし、ご自身の免疫を上げておくことも重要です。
さらに、統合医療による再発リスクの低減も考えましょう。
統合医療の可能性
現代医療の基本は西洋医学であり標準治療は西洋医療の範囲で行われています。
しかし世界に目を向けると東洋医学など様々な医療が存在しています。
がんを再発させないためには標準治療だけにこだわるのではなく、視点を広げてがん再発予防に役立つ統合医療を入れることが大切といえます。
再発しない人の特徴。がんを再発させない暮らし方
再発しない人の特徴として、下記が考えられています。
- 早期発見できた方
- 栄養状態がよい方
- 体温が高い方
- 健康的な体重を維持できた方
- 定期的な運動(1週間に150分以上)
- 野菜や果物を食べる
特に、後半の3つは米国対がん協会が2012年に公表したがんサバイバーのための栄養と運動のガイドラインで指摘されていることですので、積極的に取り組んでいくことが大切です。
また、標準治療には含まれませんが、免疫治療などで予防することも可能です。
体の警告サインを早期にキャッチする方法
毎日、同じ時間に血圧や体温を測定しておく他、体調や食事内容も記録しておきましょう。
がんは自覚症状がないものも多く、体からの警告サインに気づきにくいことが多いですので、少しでも体調の変化に気がついたら病院に行き確認することが大切といえます。
癌を再発させない食事のポイント
がんを再発させない食事のポイントのひとつ目は、ごはんやパン、パスタなどの糖質(炭水化物)を制限することです。
がんの多くはブドウ糖を主要な栄養源としており、正常細胞と比較し3〜8倍のブドウ糖を取り込まないと維持できません。
完全に糖質を食べないようにしてしまうと、精神的な問題や便秘などの問題も出てきてしまいますので、慎重に行う必要があります。
また、がんになると食欲が落ちてしまうことが多く、糖質を制限することで体力や体重低下を招き、免疫機能も低下してしまう可能性がありますので、ご注意ください。
ビタミン類やミネラルも重要なポイントのひとつです。
ビタミンDの濃度が、がんリスク低下につながるという研究結果もあれば、逆にリスクが高くなるという研究結果、ビタミンCが免疫機能の向上に繋がるなどがあり、諸説あるという状態ですが、健康な方でもビタミンやミネラルが不足しますと病気になってしまうことがありますので、適切に摂取することが肝心です。
さらにタンパク質も重要な栄養素です。
タンパク質は身体をつくる基本要素ですし、免疫にも関係してきます。
タンパク質が不足しますと筋肉の減少などにつながりますので、積極的にタンパク質を摂取するようにしましょう。
他にも、腸内環境を適切に保つこと、バターや肉類などに含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎないようにする、揚げ油に含まれているトランス脂肪酸や塩分を少なくすることもがん再発予防に大切です。
腸内環境を適切に保つには、プロバイオティクスやプレバイオティクスを適量摂取するとよいでしょう。
日常の生活習慣での予防策
がん再発の予防として、運動することの重要性が叫ばれています。
運動には免疫力の向上、代謝の活発化、がんリスクのひとつである肥満の予防などの効果があります。
1週間あたり150分間の、ほんの少し息が切れる程度の運動をするようにしましょう。
具体的には、息が少し切れつつお話ができる状態の運動を30〜60分程度、週3〜4回が目安です。
散歩や軽いジョギングなどで構いませんが、運動の強さが弱いと意味をなさないので、お気をつけてください。
また、がん治療中も運動は有効であるとされていますし、乳がん、大腸がん、前立腺がんは、運動と体重管理が再発防止につながるとした研究もあります。
医師から運動を禁止されていない限り、運動をするようにしましょう。
精神的健康と再発予防の関係
精神的健康もがん再発には重要なポイントで、サイコオンコロジー(精神腫瘍学)として、研究が進んでいる分野です。
同じがんでも、成果が出る患者様と成果が出ずに死を迎えてしまう患者様の心理・精神状態、感情面に違いがあり、治癒に関与しているということがわかっています。
がん再発や再発予防も同じであるといえるでしょう。
例えば、がんを悪いものとしてイメージし「がんが再発したら死んでしまうに違いない」と考えているよりも、「がんで大切なことを思い出すことができた」「がんが私に知らせてくれた」「再発がんで死ぬとは決まっていないし、再発しない可能性だってある」というような心理状態では、後者の方が予防に役立つことは間違いありません。
具体的には、がんとどのように向き合って生きていけば良いのか手助けになるサイモントン療法や、同じがん患者様が集まって行う集団療法、患者様と心理士又は医師と一緒に解決策を考えて実行していく支持的精神療法、「がんが再発してしまうのではないか」というような不安や「がんは完治しない」というような考え方のクセ、思い込みを見直して生きやすくする認知行動療法などがあります。
精神腫瘍科が設置されているようでしたら、可能であれば利用するようにしましょう。
なお、精神腫瘍科は、がんの患者様だけではなくご家族様の心の問題も扱ってくれるところが大半です。
再発予防のための補完代替医療
再発予防として、遺伝子治療、免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤を使う方法、活性化自己リンパ球療法、がん免疫細胞治療など)、がん光免疫療法(アルミノックス治療)などがあり、補完代替医療としては水素療法、ビタミンC療法、自己免疫をアップさせる療法などがあります。
※補完代替医療:現代西洋医学を補う医療を補完医療といい、代替医療とは現代西洋医学に取って替わる医療のことを指します。一般的に補完医療と代替医療を分けることは困難なため、まとめて補完代替医療といいます。
がん再発時の主な治療方法。何を選ぶべきか
がん再発時に選択できる治療法は、初回の治療よりも選択肢が狭くなってしまいます。
もちろん、治療を諦める必要はなく、完治を望める方法もあります。
薬物療法:抗がん剤治療の役割
抗がん剤治療には、化学療法、分子標的治療、ホルモン治療(内分泌療法)が含まれ、様々なお薬を使って全身の治療を行います。
がんの種類(大腸がんや肺がんなど)や性質によって、効果の出るお薬の種類が異なります。
また抗がん剤に耐性(薬剤耐性)を持ってしまうがん細胞も確認されており、抗がん剤が効かないこともあります。
抗がん剤に効果がない場合は種類を変更することで対応します。
また、抗がん剤には、嘔吐や吐き気、口内炎、手足のしびれや痛み、気持ちの落ち込み、不快感、疲労感、脱毛、血液を作る働きの低下などの副作用があります。
放射線治療の適用とその効果
放射線は遺伝子(DNA)に直接作用し細胞分裂の能力を無くし、細胞が自ら死んでいく(アポトーシス)過程を増強する働きがあります。
正常細胞よりも多くのがん細胞は、細胞分裂が活発で放射線の影響を受けやすい特徴を持っています。
放射線の影響を受けやすい特徴を利用した治療法が放射線治療です。
また、放射線治療は放射線をあてた部位だけに治療効果がありますので局所療法であり、全身にがん細胞が広がっている場合は、完治を望めません。
しかし、局所再発や遠隔転移で痛みや症状を和らげる目的で放射線治療が実施されることもあります。
なお、放射線治療にも疲労感、食欲不振といった副作用があります。
手術(外科治療)の対応と局限性
局所再発など、がんが臓器の中にとどまっている場合は、手術が選択され根治を目標に治療が行われますが少数です。
また、がんによる症状を和らげる目的で手術が実施されることもあります。
腫瘍が大きくなって食べ物が消化器を上手く通過できなくなったときは、消化管のバイパス手術、人工肛門造設術、脊椎に転移したときは椎弓(ついきゅう)切除術、腫瘍が気管をふさいでしまうときには気管切開術、胆道をふさいでしまうときには胆道ドレナージなどが実施されます。
緩和ケアとその目的
緩和ケアの目的は、がん治療に伴う痛みを和らげて、少しでも生活の質(QOL)を向上させることです。
具体的には、がんの直接的な痛み、抗がん剤による痛み、手術や放射線治療による痛みを軽減させて、ストレスなく過ごすことが緩和ケアの目的になることが多いです。
また、心理職による精神的な緩和ケアも病院によっては実施されています。
ステージ0の段階から緩和ケアは行われていますが、ステージが低い方は意識されないことが多いため、緩和ケアと聞くとステージⅣや末期のイメージを持たれるかもしれません。
>緩和ケア・ホスピスをすすめられた時の対処法と検討すべきこと
再発癌に対する免疫治療の可能性
元来、体には免疫という防御システムが備わっています。
免疫を担っている細胞を患者さまの血液から採取して、体外で増やしがん細胞を攻撃する機能を付与して投与するという治療法などがあります。
再発がんへの免疫治療は、非常に効果的になることもあれば、あまり効果が得られないこともあります。
様々な免疫療法が考えられていますので、検討してみるといいでしょう。
また「がんと共存して長生きする」という目的で免疫療法を受ける方もいらっしゃいます。
統合医療での癌再発治療のアプローチ
統合医療は再発がんに対して結果が出ている治療方法です。
がんに限らず、現代西洋医学で不可能とされていたとしても、視点を広げれば治療可能になることが多いからです。
視点を広げた医療というのが統合医療であり、欧米では一般的になっている医療でもあります。
がん再発治療として統合医療を採用すると、様々な方法でご自身の免疫力を上げてがん細胞を体から消失させるため、副作用もほとんどなく、再発がんの治療に役立てることができます。
癌再発の心のケア。再発の恐れとの向き合い方
がんが再発するのではないかと、不安と恐れの感情の中、生きていくのは辛いものです。
恐れや不安とおひとりで向き合うこともできれば、心理職など専門家の力を借りて向き合う方法もあります。
再発の恐れとの付き合い方
「再発する不安がつきまとう」多くの患者様が感じている不安です。
不安や恐れといった感情はヒトが生きるために基本的な感情のひとつです。
もし不安や恐れといった感情が無ければ、命に関わる危険な状態になっても行動せず、命を落としてしまうかもしれません。
不安や恐れを感じるのは、当たり前のことです。
また、不安や恐れを考えないように努力するということは、不安や恐れで頭の中が一杯になっている状態でもあります。
まずは、他のことに気持ちを切り替えてみましょう。
例えば、今日の天気やお笑い番組のこと、あるいは趣味のことなど、楽しめることに目を向けてみましょう。
上手くいくこともあれば上手くいかないことも出てきますが、上手くいかなかったからといって考え込む必要はありません。
たまたま上手くいかなかっただけかもしれませんし、誰かの手助けがあれば上手くできるかもしれません。
もし、夜眠れない、楽しいと感じることが無くなってしまったというような状況が続くようでしたら、主治医や精神腫瘍科に相談するようにしましょう。
家族や友人とのコミュニケーションの取り方
「家族に支えられたいが負担をかけたくない苦悩」を抱く患者様が多く、また「いくら家族でも理解できない」「がんと一人で闘う」と思いを持っている方もいらっしゃいます。
がんは、家族や友人とコミュニケーションしにくくなり、壁を作る原因になることもあります。
ユーモアを持って話していたいのに、家族が深刻に受け止めてしまう、逆に深刻に受け止めてくれないといったズレが生じることが多いのですが、そこでコミュニケーションを辞めてしまうのではなく、続けることが大切です。
ただ続けるだけで変化し、苦悩を分かち合えるようになるからです。
また、お互いに、気持ちを否定することなく受け止めてあげて、コミュニケーションを続けられるようにすることが第一歩です。
最初から上手くコミュニケーションできるとは考えず、何度も繰り返し続けることで、相互理解が可能になります。
心理的なサポートを受ける
今の病院で精神腫瘍科があるのでしたら、まずは精神腫瘍科にアポイントを取ることがスタートです。
また、お住まいの地域の心療内科や精神科でも対応してもらえるケースもありますし、私設の心理相談室でも相談に乗ってくれることもあります。
さらに、がん患者様同士が集まり、がんの痛みや苦しみ、孤独を分かち合えるピア・サポートがあり、患者会やがん患者サロンなどがあります。
「私には不要」と思っていても前もって主治医や地域医療連携室などに相談しておくことも大切です。
統合医療で再発癌に向き合う方の個別相談(無料)を受け付けております。
一般社団法人日本がん難病サポート協会では、がんの再発はもちろんのこと、転移癌や末期がんで治療法の選択に悩んでいる方、抗がん剤を使用したくない方に対してのご相談を受け付けております。自分に合ったがん治療に対する向き合い方や治療法に出会うお手伝いを全力でサポートさせていただきます。
よくある質問
Q.再発した癌は、初発のときと同じ治療法で治るのですか?
A.初発のときと同じ治療法が効果をあげられることもあれば、あまり効果を得られないこともあります。
また、がんが転移し再発した場合は抗がん剤による治療が一般的となります。
なお、標準治療ではない治療法である統合医療を組み込むと治りやすくなります。
Q.癌の種類やステージによって、再発後の治癒確率は異なりますか?
A.例えば、肺がんはがんの中でも再発しやすく、ステージⅠの非小細胞肺がんで20〜30%の再発率です。
また、最初に発見されたときステージが低いほど、再発リスクが低くなり、治癒できる確率は高くなります。
Q.再発癌の治療成功の指標として「5年生存率」はどれくらいの意味がありますか?
A.乳がんのように10年以上経過してから再発することもありますが、多くのがんは術後5年経過した時点で再発が無ければ完治したと見なします。
術後5年は完治の目安の期間といえるでしょう。
言い換えますと5年生存率は治療でがんが完治した率と近い値になっていますので、どのくらい完治が見込めるかの指針にもなります。
Q.癌の再発を経験した後、再々発のリスクは高まりますか?
A.がんの種類や特徴、進行状態を示すステージの状況にもよりますが、一般に再々発のリスクは高まります。
Q.がんが再発したら助からないと聞くことがありますが、治る確率はどのぐらいありますか?
A.再発がんは一人ひとり病状が異なるため、一概に治る確率をお伝えすることができません。
また、転移した場所によっては治療が困難となることもありますし、抗がん剤の効き目が弱くなることもあります。
がんの再発は、助からないと考えてしまう方が多いですが、決してそうではありません。
再発であっても、がん治療は諦めないことがすべてです。
Q.再発した癌の治療に際して、セカンドオピニオンを求めることは有効ですか?
A.治療方針を選択する上でセカンドオピニオンはとても重要です。
また、再発を告げられると頭が真っ白で何を言われたのか記憶にない方も多いので、改めて説明を受けることができる点でも有用です。
Q.再発した癌の治療中、生活習慣や食事などで気をつけるべき点はありますか?
A.がんの再発部位や使うお薬の種類によって食事制限が発生することがあります。
また、生活習慣についても病状により変化することが多いです。
食事制限が無いのであれば、糖質を控えめに、タンパク質をしっかりと取りビタミンやミネラルも適切にとり体重を維持すること、運動制限が無いのであれば、ほんの少し息が切れる程度の運動をするようにして体力を維持しましょう。